まず一口に運送の仕事と言っても様々なので、どんな仕事をしてどれだけの給料がもらえるか?
これを明確にするために「運ちゃんネット」運営者「丘」の、運転手としてやっている仕事の詳細を書きます。
・経験年数6年
・10トン車(最大積載量は13500kg)
・ウイング車
・パレット積みパレット降ろし(バラ積みバラ降ろしは一切なし)
・平均拘束時間14時間(実働はだいたい8時間∼10時間)
・零細企業
ちょこっとQ&A
Q:肉体労働はあるか? A:全然ある
Q:仕事は大変か? A:そこそこキツイ
Q:歩合制か? A:日給月給制
ざっくりいうとこんな感じです。
では、給料明細をご覧あれ。
勤続6年大型トラック乗務員の給料明細
大型トラック運転手の月の支給金額は42万円!
少し見切れていますが身バレや個人情報が入ってしまうのでここらへんで許してください( ^ω^)・・・
支給合計は42万4000円です。(26日出勤)
ボーナスは年間10万ほどなので、年収は500万届かないくらいです。
運送会社特有の複雑な給与明細の説明
運送会社って「労働時間」などで社員と揉めないように、「基本給」をめちゃくちゃ抑えるようにします。
どういうことかというと、例えばわたしのように拘束時間が14時間の場合、”法定外”労働時間は「6時間」にも及びますよね。
ただそれはあくまで平均で、長い時は18時間とかも、ざらにあります。
では拘束時間が18時間ともなると、残業が10時間になるのでその10時間分は「割増賃金」を支払わなくてはいけません。
そしてこの「割増賃金」というもののベースは、基本給から計算されます。だから運送会社はとにかく基本給を安くするんですよ。
この他にも「就業規則」とか「賃金規定」の絡みから、このような給料明細になってしまうこともありますね。
要は、しょうがないんです。
ただ一つ擁護をするなれば、
どこの運送会社にも、そんなのを払う余裕はないんですよ。マジで。
そもそもその労働時間が長くなってしまうのは、道路上のトラブルだったり、荷主の都合だったり様々なんですよね。
もちろんそれも踏まえたうえで、運賃を交渉すればいい。っていうのはあくまで理想論。
そんなこと言ったら仕事は取れません。
なのでそういったことへの「運送会社側」の緩和策として「労使協定」で労働時間は12時間まで延長出来たり、
労働基準法でも運送会社の拘束時間は最大16時間までOK!(細かな規定アリ)とかなっています。
これもよく考えたらふざけた話で「トラック運転手の拘束時間」については、こちらの記事でめっちゃ愚痴ってます。
話を戻しますが、私のこの複雑な給与明細は、
会社側が運転手に向けてやっている「牽制」みたいなもんです。
余談ですがこんな感じの給料明細でも、その気になれば残業代はもちろん請求できます。(わたしは絶対にやりませんけどね。上司とか今の会社好きだし( ^ω^)・・・)
トラック運転手の給料は安い?
月の収入だけ見れば、そこまで安くはないと思います。
しかし、これから先昇給の見込みが薄いことや、管理職に上がったとしても、そこまでの昇給も望めないことを考えると「もう少し欲しいな」と思ってしまいますね。
運送会社は「運転手」が主役なので、社長以下の給料が安いというのは割と業界では常識です。
一見すると偉く、役職を貰っている方が「長距離運転手」より給料が安いなんてのはザラですからね。
ただ、正直な話をすると、「これくらいの給料が妥当かな」と思う日もあれば、
「マジもうやってらんねえ!絶対今年いっぱいで辞めてやる!」
と思う日もあります(笑)
トラック運転手の年収300万~450万ほどが9割
なぜ大型トラック運転手の給料が基本的にどの産業においても横並びかというと、
間違いなく運賃がほぼ横並びだからです。
これは当てずっぽうや主観でいっているわけではないので、念のため厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」も貼っておきますね。
引用 賃金構造基本統計調査
この統計は少し安すぎますが、
「非正規」いわゆる正社員でない人たちの分の賃金とトラック運転手全体の統計データであるからです。
目安としてはこの統計データの+100万くらいが相場でしょう。
稀にトラック運転手でも年収600万∼700万ほど稼ぐ人たちがいますが、
一言で言うなれば彼らは運転手の中でもプロフェッショナルです。
拘束時間もさることながら、
「そんなのあんたにしかできないよ…」という仕事をこなしている人だけが、それくらいの年収をとれるんじゃないかと思います。
事故を起こせば給料は下がる
トラック運転手の給料は、
事故をおこせばほとんどの会社で下がります。
私の会社の場合ですが、
被害額の“3割”を月々1万円づつ引いていくシステムです。
例えば、200万円ほどの被害がでた「事故」を起こした場合、
「200万×0.3=60万」
つまりこの「60万」を月々1万円づつなので、
60ヶ月にわたって弁済することになります。
また、この1万円はもともと「ベース」の給料として支給されていたはずだった、
「無事故手当」というものが給料明細から消えます。
おそらくこれは労働基準法的な”しがらみ”からこのようなシステムをとっているのでしょうね。
ちなみにこれは「車両事故」に限った話ではなく、
「製品破損事故」でも同じように被害金額のいくらかを弁済させる会社がほとんどであると思います。私の勤めている会社も実際にそうです。
給料が歩合制の場合、売り上げの3割∼5割が自分の給料になる
トラック運転手の給料が歩合制である場合は、
だいたい売り上げの3割∼5割ほどが給料になります。
この幅は単純にトラックの大きさで、
2t車 | 4割∼5割 |
4t車 | 4割∼ |
10t車 | 3割~ |
こんな感じになっていると思います。
車両が大きくなれば必然的に売上額も大きくなりますが、維持費なども高いため、歩合率も当然下がる傾向にあります。
私の知っている例を暴露すると、
大手飲料メーカーのパレット積みパレット降ろしの配送は一回で1万円です。(10t車です)先ほどトラック運転手で年収を600万以上とるのは「プロフェッショナル」のみと書かせていただきました。
では実際にこの大手飲料メーカーの配送をおこなっていたとして、年収600万以上をとるのがいかに大変かを説明させてください。
まず年収600万以上貰うには、月に50万の収入が必要ですね。
となると1ヶ月あたりの売り上げは、どんなに最低でも「150万以上」売り上げなければいけません。
現実的な出勤日数が月当たり26日だとして、
「150万÷26=5万7千円」
つまり1日に5万7千円以上売り上げなければ、年収600万円には届かないわけです。
なので、
さきほど紹介した大手飲料メーカーの仕事だと、1日当たり5.7回以上の配達をこなさなければいけません。
当然配達先での手元作業もあるし、なにより「運転手には待機時間」というものがありますからね。
ちなみにわたしもパレ積みの飲料を何度か運んだことがありますが、1日5.7回はまあ無理です。
ここでよくわかって欲しいのが、
1回で積む荷物は1件から2件分の荷物だけです。それを5回以上同じ倉庫に戻りこなさなくてはいけないのです。
まとめ
大型トラック乗務員の給料事情についてまとめると、こんな感じ。
・月収は30万~40万ほど
・賞与はほぼないので求人情報誌の見込み月給×12が年収となる
これが昇給前提の話なら、
20代でも年収400万は無理なく超えられるラインですし、悪くない水準だとは思うんですけどね。
ただ最近ではこんなニュースもあります。
ヤマトHDが利益大幅増へ、アマゾンなど運賃値上げで https://t.co/IoyYs6vHee #tbs #tbs_news
— TBS NEWS (@tbs_news) 2018年5月1日
物流大手のヤマトが運賃を値上げしましたね。
最近では「アサヒビールやキリンビールなどの各社」が、
物流コスト増による商品の値上げを発表しました。
どこまで末端の運送会社や中小企業にその恩恵がいくかは不明ですが、運送業全体としてはそこまで悪くない流れが来てるんじゃないかと思います。
ただ、「飲料系(酒とか酒とか)の運賃」というのは業界でも「安すぎ!w」って本当に、
草が生えてもおかしくないくらい安いと有名なので、
ほんの少し上がったくらいではな~んにも変わらないんですけどね。
コメント
運賃どんどん上げればいいと思う