大型トラックに乗車し始めてから、6年くらい経ちます。
経験者の方はよく、
「そんなの常識だろ?」
という言葉を使いますが、その『常識』を知らない方は多くいます。
ですので、まだ乗り始めの当時、私がよく知りたかったことなどをまとめてみました。
大型トラックに乗務する前に知っておきたいこと
スピードはブレーキを踏んで調節するのではなく、アクセルをあけて調節する
トラックは乗用車と同じ感覚で運転すると危険です。
特に初心者の方に多いのが、「ブレーキを頻繁に踏む」こと。
これはブレーキを控えろと言ってるわけではなく、
「車間距離をきっちりとあけ、早めにアクセルを離してスピードを調節」
するという事です。
なぜ頻繁にブレーキを踏むのがよくないかというと、
「安全な車間距離をとる癖がつかない」
「荷物が痛む」
という点です。
踏み方にもよりますが、頻繁に踏むことは荷崩れの原因になったりもするので、望ましくないです。
例えば、大型トラックだと教習所の教官でも、荷物を積んで走行した経験がある人というのはあんまりいねえと思うんだ。
教習所では「排気ブレーキ」はあまり使うなと言われるが、実際路上教習の感覚で運転してると普通に荷物崩れるぜ。
実車の時は、排気ブレーキはしっかり使わないとダメだ。
大型の教習は「時間」が足りないし、教習料金が安くて割に合わないと聞いたことがあるわ。
実際教官の人も、「実務的な事」を教えている暇はないと思うの。
車間距離をしっかりとる
トラックは積荷の重さであったり、条件が多岐に渡るのでこれくらい車間距離を離せば止まれる、いわゆる停止距離の目安を考えるのが難しいです。
しかし、確かなことが一つあるのですが、乗用車より早く止まれることはありえません。
時速 | 停止するまでの距離 |
---|---|
20km | 9m |
30km | 14m |
40km | 22m |
50km | 32m |
60km | 44m |
70km | 58m |
80km | 76m |
90km | 93m |
100km | 112m |
こちらは、乗用車の停止距離(空走距離+制動距離)になりますが、実際に道路を走ってみると、大型トラック、トレーラーですら、こちらの数値より車間をあけている車両はほとんど見かけません。
経験年数がある程度あるにも関わらず、道路の白線が車間距離を測る助けになる事も知らないような人が多いんです。
車線境界線は、8mの白線と12mの空白区間の計20mで構成されています。
ちなみに一般道の場合は、白線と空白がともに5m間隔、あるいは6mの白線と9mの空白で構成されています。
プロのトラック運転手として、ここら辺の数字はしっかりと把握しておきましょう。
ダブルタンクの場合はコックを閉めよう
大型車になると、ガソリンタンクが2個ついているものがあります。
その二つはメッシュのホースで繋がっているだけなので、両方が満タン近くある状態で勾配がある場所などに停車する、あるいは走行すると片方に寄ってしまい、軽油が漏れてしまいます。
このように注意書きが書いてある場合もあるのですが、書いてない場合もあります。
接続コックというのはここの部分で、満タンにした場合は、これを締めないと溢れてきてしまいます。
ちなみに、片方のタンクが「空」に近い状態で、コックを緩めもう一つのタンクの軽油を流すのが理想的。
また、当然ですが、軽油の滲み漏れ等に厳しい倉庫もたくさんあります。
そういった倉庫で漏れがあると、始末書や報告書を書かされる事もあるので、充分注意しましょう。
デフロックについて
トラックには「ワンデフ車」と「ツーデフ車」があります。
このように大型は3軸車、4軸車共に(前2軸除く)、後ろに合計8本(片側4本)のタイヤがあるのですが、
「ワンデフ車」というのは「後前軸」しか動きません。「ツーデフ車」というのは「後両軸」とも動きます。
例えば、このような「緩やかな斜面」にトラックが差し掛かった場合に、
駆動輪である3軸目が浮いてしまい「空転」することがあります。(スピードがある時はほとんどないんですが、ゆっくりとバックしたり前進している時はよくあります…。)
それを防ぐのが「デフロック」で、空転を防ぎます。
あらかじめ、
「これバックor前進したら三軸目浮いちゃいそうだなあ」
って時に使用します。
スイッチはこれ。
「スイッチ」の場所はメーカーや車種によって違いますが、マークはほぼ一緒です。
ちなみにデフロックをかける場合は、
完全に「停車」している状態でスイッチをいれてください。
故障の原因になります。
ただ一つ、ここで疑問が出ると思います。
「ツーデフなら大丈夫じゃね?」
そう思いますが、
ツーデフ車でも「空転」する時はします。
これはツーデフの特性上仕方のないことらしいんですが、デフロックを入れることによって、後前軸、後後軸の動力配分が完全に50:50に切り替わるようです。
なので、ワンデフツーデフ問わず、空転しそうな場合はデフロックを使用したほうがいいです。
デフロックについて実践的な豆知識
最近では比較的高さのある物流施設が多いのですが、雨の日の上りスロープでは、路面の材質によってかなり空転します。
こういった時に、デフロックは重宝しますので、ぜひ使用してみてください。
車の”高さ”は必ず車検証を見て確認しておく
私が今まで勤めてきた会社では、かなりの人数の新人が高さ制限に引っかかりぶつけています。
修理代めちゃくちゃ高いです。
例えばですが、3.5mの高さのトンネルがあったとしたら、同じ高さのトラックでも侵入しないほうが吉です。
少しの段差でぶつかっちゃうからね!
通過しなくてはいけない事情があるとしても、基本は最徐行です。
また、必ず自分が乗る車両の高さを確認しておきましょう。
トラックのスイッチにはどのような役割があるか把握しておこう
こちらの記事で詳しく書いてます。
最近の車は「え?なにこれ?」みたいなスイッチがたくさんついているので、機能と役割を把握しておきましょう。
ちなみにですが「このスイッチなにかわかります?」みたいな質問を、同僚や同じ会社の乗務員に聞いても「え?俺も知らない」って回答される確率が高いです。
要はどんどん機能が増えてるのでみんな知らないんですよね。
安全は”すべて”に優先する
トラック運転手の仕事で一番大事なのは、「安全」です。
文字通り”すべて”に安全が優先されます。
これを本当の意味で理解し、実際に安全を優先してください。
この中に〜安全を優先させるのを日和ってるやついる?いねえよなあ!!?
書いてて恥ずかしくないの?
まとめ
本来であれば、先輩乗務員などが教えてくれればいいのですが、運送業界ってそもそも「1人で仕事」をするまでが極端に早いので、事細かに教える余裕自体がなく、もし教わったとしても忘れてしまってることがほとんどです。
私も何人かに仕事を教えたことがありますが、今の会社では基本的に2週間以内で教え切らなければいけないので、実際やる業務を集中指導して、他の事はほどほどにしか伝えられません。
自身そうでしたが、短い期間の間に色々なことを指導されても、
ほとんど右から左なんですよね。
なので、そういった教育期間が短すぎる人達のためにも、今回のページを作成してみました。
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