わたしは過去に「お酒」を運ぶ仕事をしていました。トラックのサイズは2t車です。
そしてこの「お酒」を運ぶ仕事ですが、大きく分けて2種類あります。それは「問屋」か「酒屋」かどちらかです。
「問屋」というのは「酒屋」さんにお酒を売ります。「酒屋」というのは「お店」にお酒を売ります。
スキームでいうとこんな感じ。
わたしは「問屋」と「酒屋」両方のお酒の配送の仕事を経験しました。
では、この仕事はどのようなことがキツイのか?給料はそれなりに高いのか?
現在、転職を考えいている人は気になりますよね。
ですので、わたしが「お酒」の配送の仕事をやっていた当時を振り返りながら、仕事内容などを解説していきたいと思います。
お酒配送の仕事ってどんな仕事?仕事内容などを詳しく解説
お酒配送の仕事内容~1日の流れ~
まずわかりやすいように、1日のタイムスケジュールを載せておきます。
6時 | 出社 |
7時~9時 | 検品をしながら積み込み |
9時~10時 | 納品先に向けて出発 |
10時~15時 | 一般店へ配達(チェーンも数店含む) |
15時~16時 | 倉庫に戻る(空樽や空容器を下す) |
17時 | 帰社(帰社時間は14時~17時の間) |
(酒屋大手「カクヤス」の業務内容が動画でUPされていました。イメージはこんな仕事です。)
まず、朝6時に自分の会社に出社します。ここで「点呼」や「点検」などをしたのち、積み込み先の倉庫へ出発します。
そして7時~9時に、倉庫についたのち積み込みをします。検品リストだったり、時にはピッキングリストを見ながら、棚から商品を取り出しつつ、トラックに積み込みます。
最初に新人の人がお酒の積み込みに関して苦労することがあります。それは種類の多さです。
お酒って本当に種類が多いんです。同じ名前のものでも「アルコール度数」が違ったり、季節限定商品でラベルが微妙に違うとかあります。基本的に伝票を見ながら仕分けるので、商品のラベルと伝票に書いてある商品名がリンクするまでに、結構時間がかかるんですよね。
ただこれは、お酒だけに限ったことではありませんけどね。
まあ話を戻しまして。
10時頃に出発します。いくつかコースがありますが、基本的に「繁華街」であればあるほど、納品は大変です。(単純に人が多いし、朝早くの配送だと酔っ払いに絡まれます)
ぶっちゃけた話、首都圏の配送とそうでないかで給料10万くらい変えて欲しいくらいです。割とマジで。
そして昼あたりまではひたすら配達。チェーンの居酒屋もそうですし、ファミレスなんかも出入りします。
「え?ここ酒なんか取り扱ってるの?」
みたいなところも普通にいきます。酒あるところに「酒屋」アリです。
昼までに配達が終わる目途が立ちそうなら、ゆっくり昼食。それが無理そうならパパっと済ませちゃいます。
そして、配達を終えたのち「空容器」や「空樽」と呼ばれるものを、倉庫で分別しながらおろして終わりです。(納品先から回収した容器はメーカーに返すので、しっかりと分けます)
酒屋配送のキツイところは?やっぱり商品が重い
お酒そのものが重い
まずキツイところはと言われれば、やっぱり酒の重さですね。「生樽」という一番流通しているビールの容器は「20kg」近くありますし、ビール瓶のケースも同じくらいの重さがあります。
ただ、正直これだけならそこまでしんどくないんですよ。
さらにキツイのは「それを持ちながら2階~3階と階段を上る」ことがあるんです。
雑居ビルなんかも「エレベーターないところなんかある?」って思う方多いと思うんですけど、めちゃくちゃあります。
むしろ駅前や繁華街は、そういった2~3階のビルが意外に多い。そして、エレベーターがついていたいとしても、納品口は「階段」からしか受けられないという、なんともオワタ仕様なビルも多いわけです。
鍵の預かりはかなり不安になる
営業中の納品が禁止だったり、もともと「居酒屋」って昼間やってないところ多いですよね?
あれって酒屋がお店のカギを預かって、昼間に納品してるんですよ。
ではその鍵の預かりでどんな不都合があるかというと、
「あれ?あそこのお店鍵ちゃんと閉めたっけ…?」
ってなります。鍵の閉め忘れは「信用問題」に繋がるので、かなりシビアです。
「テヘ、忘れちゃった」
とかそういった感じではもちろんすみません。
鍵を預かっている店が、数件程度なら問題ありませんが、どのコースも基本的に「40本」ほどは預かっていました。中には「セキュリティ(ALSOK)」などのキーもあり、どの店がどの鍵なのかを覚えるだけでも大変です。
加えて、会社の規定で鍵に「店名」等を書いたり、テープを貼ってはいけない決まりになっていました。盗難や紛失から「万が一」を防ぐためですね。
居酒屋が忙しくなる金曜、土曜が少し嫌になる
酒屋の配送は「金曜、土曜、祝前日」が最も忙しいです。
反対にいうとそれ以外は意外と暇なんですよね。ですから、金曜、土曜がくると果てしなく嫌な気持ちになります(笑)
もちろん物量が増えて、仕事が大変になるという辛さもありますが、その他一般の方と「感覚」が逆行するのも少し嫌になるんですよね。
普通の方なら土日休みで、「金曜日」あるいは「土曜日」なんかは休みの前なので、テンション上がったり、そういった雰囲気になったりするじゃないですか。
この仕事を始めるとそれがなくなってしまうと。周りの人とも休みが合わないので、そういった辛さもありますね。
酒屋配送の良いところは?
やっぱり、他のルート配送の仕事と比べて、体力的にもキツイ分給料がそれなりに高いところでしょうか?
普通免許だけでスタートできて、未経験でも積極的に採用している企業が多く、月収は30万を超えるのはなかなかないと思います。
あとは慣れてくれば、他の運送の仕事と同様、気が楽なところではないでしょうか?予定より早く配送が終わりそうなら、お気に入りの店を探してゆっくり昼食を食べてもいいですし、そこら辺を自由に自分で時間配分できるところでしょうね。
あとは終わり時間が他の運送に比べて早いところ。
そもそも「労働」の部類が他の運送に比べると、結構きついんですよ。ですから、同じように「12時間拘束」だったりすると、本当にキツイわけです。
そういったことも加味されてか、お酒の配送の仕事は割と拘束時間が短いところが多いです。それも大きなメリットですよね。
1日に何件くらい配達するのか?平均は20件あたりから
もちろん「ピンキリ」な部分はあると思いますが、比較的人口が少ないエリアで「20~30件」、都心や配達店の密集度が高いエリアでは「30~50件」くらいかなと思います。(問屋の配送は1日10件くらいでした)
やったことない人からすると、多く感じるかもしれませんが、田舎周りのコースで、店と店の距離がそれなりに離れていても「20件くらい」ならすぐ終わります。
ただこれはもちろん慣れてくればの話で、やっぱり最初の方は慣れてる人と比べて一件当たり「~5分」ほどは多くかかってしまうので、それなりに時間はかかってしまいます。
たかだか5分と思いますが、件数が増えるとその影響がとても大きい。
つまり、慣れるまでは1~2時間ほどは配達が遅く終わってしまうということですね。(20件×5分=100分)
酒屋配送の給料は?
年収でいうと「300万~」あたりからでしょうね。
(酒屋大手「カクヤスのルート配送」の年収は400万~と求人ページに書いてありました)
ただ、これよりも下の給料はもちろんあると思いますし、やっぱり肉体的なキツさに比例して、給料が変動すると思っていたほうが無難でしょう。
商品を破損させてしまった場合はどうなる?
これは会社の方針によって違います。わたしが聞いたことがあるのは破損は「始末書」を書き、実費での弁済は求められない。
あるいは、弁済はさせるけど商品は渡してくれると様々ですね。
ただ、我々配送員がよくやるのは、破損した商品自体を店舗なり、納品先のお客さんに頼んでそのまま買わせてもらってました。
やっぱり破損とか商品事故っていうのは、会社を挟むと面倒なことが多いんですよね。
気を付けないといけないのは、高い酒を割らないことです。10年物のお酒や、びっくりするくらい高いお酒は多くあるし、それなりに毎日のように触るので。
酒屋と問屋の配送はなにが違う?どちらのほうがいいか
扱う商品も、運ぶ荷物もだいたい一緒です。
大きな違いといえば、先ほども書いたように「店舗」に納品するか「酒屋」に納品するかの違いです。
ただ、問屋のお酒配送だと、酒屋の配送にはないような「大口」の納品先(これも酒屋です)がありますね。例えば居酒屋なんかは繁盛店でも1日生樽8本、ビール瓶数ケースとかなんですが、問屋の配送はそれの倍くらいの量を降ろす時があります。
荷下ろし先が酒屋で、その酒屋さんもその荷物からどこかの店舗に降ろしているので、当然といえば当然ですけどね。
どちらのほうがいいかと言われれば、正直どちらもそこまで変わらないと思います。一長一短ですね。
まとめ
この仕事に向いている人は、もとより「体を動かす」ことに抵抗が少ない人だと思います。
わたしもどちらかというとその口でしたが、結局大きなトラックに乗りたくなったので、会社の人に頼んで辞めました。
ただ、今は昔と比べるとあまり体を使ったりはしないので、今やるかと言われれば少々億劫ですね(笑)
ですが、もとより筋トレが好きな人とか、運送会社特有の長い拘束時間が嫌な人、多少キツくても早く仕事を終わらせたい人には、ピッタリの仕事でしょうね。
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