「ダンプの運転手ってどうなんだろう?」
大きな枠組みで言えば、運転が主な仕事なのでトラックの運転手であるのですが、「ダンプの運転手」は少し違います。
どちらかというと運輸業というよりは、建設業よりな部分もありますよね。
一見楽そうに見える仕事ですが、実際の仕事内容や給料はどんなもんか気になる人も多いと思います。
なので今回はツテをたどり取材に協力してくれた、元ダンプ運転手の「R氏」と共にダンプ業界の裏話や、仕事内容などを丸裸にしていこうかと。
その前にまずは「ダンプカー」と普通の「トラック」の違いから説明していきます。
(知っている方は目次からジャンプ!)
そもそもダンプとトラックの違いって何?
ダンプカーというのは、上の画像のようなトラック。
荷台に乗っけるものは土砂や砕石、会社によっては産業廃棄物など様々ですが、その多くのトラックは建設現場や工事現場などに出入りしています。
上の動画を見て頂くとわかりやすいですが、このような形で荷物を落とす仕事をいわゆる「ダンプの仕事」と言います。
反対にトラックの仕事で運ぶものは、「荷物」です。
製品だったり、家具家電だったり運ぶものは様々ですが、
簡単にいうと「トラック運転手」というのは、「荷物」を運ぶ人。
ダンプの運転手というのは「土砂など」を運ぶ人という認識で問題ないと思います。
そして今回取材に協力くしてくれのは「R」という方。今の仕事をはじめる前は5年ほどダンプの運転手をやっていたようです。
かなり細かく聞いたので、これから転職を考える人は必見です!
ダンプカー運転手の仕事内容
ダンプ運転手の1日の流れ
ーさっそくなんですがダンプ運転手の1日の流れを教えてもらっていいですか?
1日の流れというか「積み場(つみば)」と「捨て場(すてば)」っていう言い方を俺らはするんだけど、基本的にダンプの運転手は積み場と捨て場の往復。
積み場で土砂なんかを積んで、捨て場でそれを降ろす。
基本的に1日の流れはこれ。これをひたすら繰り返す。
ーたまに山の中とかすごい狭い道からでてきたりしますよね?
実はさ、あのダンプが運んでいる「土」にも質みたいなもんがあって、よく山みたいな場所にダンプがいるのみたことあるでしょ?
あれってその名の通り山を買って、良質な土を掘り起こして誰かに売って、反対にどっかから引き取ってきた質の悪い土とか(残土)をその掘った穴の中に入れたりするんだよ。
ーそうなんですね。それって大丈夫なんですか?
あんまりよくないでしょ(笑)
だから地域住民に反対されることがほとんどだし、その穴を掘り起こす土地を探してプロデュースする「穴屋」なんて言われる人も中にはいるからね。
朝の出勤時間は?早い?遅い?
ー朝の出勤時間はやっぱり早いんですか?
その出入りする現場によってまちまちじゃないかな。
俺がやってた時は朝の3時30分に出庫して、だいたい15時前には終わる感じだね。
でもこれは、道が空いてる時間帯の内になるべく回数をこなして、あんまり遅くならないように、自主的に早めに出発してるだけなんだよ。
そりゃ空いてる時の方が効率良いからね。
だから例えば、頻繁に道路とか作ってるところに出入りしているダンプなんかは、工程とか他の作業の進行もあるだろうから、きっちり時間が決まってんじゃないかな。
ー結論から言うと、出勤時間は「仕事によりけり」ということですかね?
そうだね。会社によっても違うし、現場によっても違うと思う。
ダンプ運転手の拘束時間は?平均的なトラック運転手と変わらない!
ーわたしの印象だとダンプの運転手って拘束時間が短いと思うんですけどどうなんでしょうか?
そんな長いのは同業の奴らからも聞いたことないけど、たぶんトラック運転手みたいにアホみたいに拘束時間がながくなることはないんじゃない?
平均的にいうと8∼12時間くらいまでが一般的かなって。
っていうか積み場とか捨て場がそんなに夜遅くまでやってないんだよ。
あと、1日に何発走るかっていうのはだいたい決まってることが多いからね。
ダンプの運転手のキツイところ!実は結構たくさんある。
ーダンプの運転手で「キツイ」と思うことを教えてください
どこも基本的に走りっぱなしっていうのが多いんじゃないかな?
やっぱり数をこなしてナンボみたいなところあるし「自分のペース」ではあまり走れないところとか。
ー「自分のペースで走れない」というのはどういう事でしょうか?
ほらさ、
よくダンプって連なって走ってるでしょ?あれって順番とか決まってること多くて、ちゃんと他の人とかに迷惑が掛からないようについていかなきゃいけないんだよ。
だからそういうのがめんどくせえなあって(笑)
ーなるほど。その他にキツイことはありますか?
あとは単純に距離を走るときとかは1日で∼400Kmとか走ったりするね。
そういう日はやっぱりそれなりに疲れるよ。
運転しかしないっていってもその間ずっと気を張ってるわけだから。
あとは無線!
案外喋り下手な奴とかはあれが嫌で辞めてったりするんだよ。
ーダンプの運転手はよく無線を使ってますよね。
そうそう。あれって案外面倒でさ。
一緒に走ってる連中と密に連絡を取り合ったり、一つの現場でも複数の会社が出入りしたりするときあるでしょ?そういう時って一つの「チャネル」を複数の会社とかで共有したりするんだよね。
だから少し知ってる人とすれ違ったりしたら、無線使って「あいさつ」とか軽くするし、その先で重量検問やってますよ~とか伝えたりするからね。
ーそうなんですか(笑)そういえば気になってたんですが、ダンプの運転手は日常的に過積載をやらされるんですか?
過積載も会社によってだね。
ちなみに俺は普通にやらされてたよ。
というかほら、結局積んでるものが土とかだからさ。
見てくれだけじゃ重量なんてわからないんだよ。
だから積めるだけ積むのが普通みたいになってるとこあるよね。
ちゃんとした会社なんかは「過積載ライン」とかってシールを荷台に貼ってやってるけど、結局あれも「積む土の種類」がだいたい一緒だからできることであって、全部が同じ重さなわけじゃないからね。
ーできれば過積載はやりたくないですよね。なんか過積載をやる会社かどうか見分ける方法とかってあるんですか?
まあ目安ならあるよ。
「アオリの高さ」を見ればわかる。荷物を積む「ハコ」の高さね。
あれって少しでもあげると産廃に使うトラック以外はもう車検通らないんだけど、いまだに民間の車検場なんかではそのまま通すところがあるんだよね。
だからなるべく過積載をしたくないなら「アオリの高さ」を見るといいよ。
あとは「営業ナンバー(緑)」か「白ナンバー」かってとこだね。
その「アオリ」を高く上げてるのって、だいたい「白」だから。
あとさ、過積載の状態で荷物を捨てる時とか怖いね。
断崖絶壁のところにケツぴったりまで車をバックさせてさ。
そこで穴の中に土を入れるって感じなんだけど、重い時は本当に怖い。
雨とかで濡れてたりすると固まっちゃってダンプした状態からなかなか落ちなくて浮いたりするときもあるし、重さで左右にあおられたりするんだよ。
実際それで車がひっくり返っちゃって死んだ人とかも結構いるみたいだからね。
ダンプ運転手の仕事で楽だなと思うところ
ーきついところを聞きましたが、反対に良いところとかってありますか?
まあ待機があるところは普通にあったりするし、
終わりが自分で計算できるってのもいいとこじゃない?
ー終わりが計算できるというのはどういうことでしょうか?
ほら、さっきいったみたいに、「1日に何発走るかはだいたい決まってる」って。
だから、
朝早めにでたりすればその分早く終わったりするし、そういうのが自分で考えてできたりするっていうのはいいとこだと思うよ。
もちろんこれも現場によってみたいなとこもあるけどね。
ー他にはなにかありますか?
あとは基本的に車降りなくていいとこじゃない?(笑)
面倒なところとかだと、自分で重機運転して自分で積んだりするときもあるけど、まあ稀だからね。
人によってはキツイところからも知れないけど、良いところでもあるよね。
ーなるほど。
ダンプ運転手の平均的な給料は?日給月給制が多いらしい!
まあピンキリだと思うけど、
1日「1万2千~1万5千」あたりが相場なんじゃないかな?
日給月給制のとこが多いと思う。
さっきも話した過積載をやったりする連中の中で「深箱」ていわれる仕様の、
とんでもない過積載をする連中なんかはもっともらってる人いるかもね。
結局一回で運ぶ荷物の量が多いからその分給料も高くなったりするよね。その残土とか土でも「1㎥(リューベー)」いくらとかってのもあるからさ。
でも自分で走る道路を作って、自分で壊すとか本末転倒だよな。
ちなみに俺は朝3時30出庫の夕方15時∼17時くらいの終わりで1日1万5千円だったよ。
ーおお!悪くない金額ですね!
まあそれでも過積載とかもやるわけだから。
結局やってることは犯罪でその分の見返りとかを考えたら安いよ。だからやめたようなもんだし。
ダンプ運転手のマナーやイメージは悪い?聞いてみた。
ー同じトラックの運転手の中でも「ダンプの運転手だけはダメ」というような風潮が実はあります。それについて思う事はありますか?
ああ(笑)そうやって言うよね(笑)
まあでも実際そうなんじゃないかなって思うよ。
たださ、俺らダンプ運転手の中でも「クソウイング共がよ∼」ってよく言ったりするからね(笑)
まあ敵対関係だよね。俺らと普通のトラック運転手の人達って。
ー「クソウイング」って(笑)他にはダンプの運転手は暴力団の方が多いと聞きますが…?
確かに多いよね。
もちろんその比率とかって会社によっても違うけど、割合で言えば10人に1人くらいの割合でいても全然おかしくない。
けど、普通に仕事する分にはなにもないからそこはそこまで気にしなくていいと思う。
ただやっぱりこう、
「気性が荒い人」は多いよね。俺が勤めてた会社もそうでさ。社長は本当におっかない人だったよ。
結局のところ過積載もそうだし、やってることはほとんどグレーだったり犯罪だったりするじゃん?だからそういう人が集まるんだと思うよ。普通に真面目な人はできないじゃない?
ーそうですよね…例えばそういった会社を見分ける方法とかってあるんですか?
やっぱりあれじゃない?
営業ナンバー(緑色のナンバー)とってないところは気を付けたほうがいいんじゃないかな?つまり白ナンバーのダンプは注意って事。
自社で工事請け負ってて、緑をとる必要ないところもあるにはあるけどさ。
結局そういうところも、あまり走らせたくないもんだから(燃料費がかさむ)運転手に無理させること多いし、純粋にダンプカーの仕事をまっとうにやりたいなら「緑ナンバー」の会社をオススメするね。
ーそうなんですね!ありがとうございました。
まとめ
私はトラックの運転手として今までやってきましたが、正直「ダンプの運転手とかクソ楽じゃね?」って思ってました(笑)
やっぱりどの業界も仕事は大変なんですね。
これから転職を考えたりする方は、このインタビュー記事をよく読み返して考えましょう(笑)
取材に協力してくれた「R氏」は「ダンプの仕事も慣れりゃ楽だよ」とも言っていました。
同じトラックの運転手でも業界によって人間関係も仕事内容も様々ですね。
最後に、取材に応じてくれた「R氏」誠にありがとうございました。
コメント
こんにちは以前求人票の嘘の記事にてコメントの方をさせていただいたものです。
今は路線バスの運転手を2年ほどやっている24歳です。一時期は今の仕事がすごい嫌になったことがありダンプやタンクローリーの運転手等を探していたりしましたが、この記事などを見てどの仕事にも大変な面があるというのを改めて実感し、特にダンプは一人で気楽にできるとばかりの思い込みでしたが、調べてみると複数で走ること、また無線でのやり取りなどとても一人で気楽にできるものではなさそうと感じ、今のバスの方がお客さんの目はありますが割と安全運転に集中できる方なのかなと(あまりにも遅いとダイヤ遅れてしまいますが。。)
自分はあまり喋りや他の人と連携して仕事というのが苦手な方なので今の路線バスにて着実に年数を重ねていきたいという想いです。素晴らしい記事の方をありがとうございました。
ご自分で納得されたみたいで良かったです(^ ^)!
そう言って頂き本当にありがとうございます泣
これからも頑張ります!